危険!?なカラコンの「厳しい日本基準」をクリアしているカラコンメーカー「シンシア」の安全性を高める3つの仕組み

危険!?なカラコンの「厳しい日本基準」をクリアしているカラコンメーカー「シンシア」の安全性を高める3つの仕組み

カラコンを使ってない人からすると「カラコンっていろいろ怪しいし、危険なんじゃない?!」って思う人はまだまだ多いように感じています。

そこで、そこで国際規格である「ISO13485」を取得しているカラコンメーカー「シンシア」さんに

  • 「ぶっちゃっけ、カラコンって安全なの?」
  • 「安全性を高めるためにどんな取り組みをしているの?」

っていうのを取材してきました!!長いですが、じっくりお読みください。

この記事の目次

はじめに

一口にカラコンメーカーといっても、みなさんの手元にカラコンが届くまでにはいろんな企業が複雑に関わっていることが多いんです。

なので、みなさんにシンシアさん(以下シンシアと略)のカラコンメーカーとしての役割を理解して頂くために、まず、準備編として

  • カラコンが手元に届くまでにどんな企業が関わっているの?~企業への規制~
  • なぜ「安全性を重視」したカラコンって言えるの?~日本の承認基準~
  • 法律上メーカーが守るルールはあるの?~製造販売元の義務~

についてご説明することで日本ではどのような安全性を高めるためのルールがあるのか、理解して頂きます。その上で、

  • 韓国製品や台湾製品って適当なんじゃないの?
  • いつも日本基準で納品されている保証はあるの?
  • カラコンの使い方ってちゃんと説明しているの?

っていう厳しいツッコミに対するシンシア独自の安全性を高める仕組みを紹介したいと思います。

それでは、まず準備編として「日本におけるカラコンをつくって売るまでのルールの概要」から始めます。

本記事の構成

カラコンが手元に届くまでにどんな企業が関わっているの?~関係企業への規制~

たとえば、浜崎あゆみさんがプロデュースしたレンズがあることで有名なキャレムドールというカラコンのパッケージをよくよくみると、

キャレムドールのパッケージ表と裏

メーカーっぽい会社名として、「発売元」の「CLB東京株式会社」と「製造販売元」の「株式会社シンシア」の2社が書いてありますよね?「どっちがホントのメーカーなのよ!なぜ2つの会社が書いてるの?」ってツッコミたくなりますよね?

一方で、大手コンタクトレンズ専門店のアイシティにも並んでいるフェアリーワンデーのパッケージをみると、

フェアリーワンデーのパッケージ表と裏

「製造販売元」の「株式会社シンシア」の一社のみしか書いてありません。

よくよくこの二つを比べると、

  • 「発売元」が入っているのと入っていないのとではどう違うの?
  • そもそも「製造販売元」って難しい名前はなんなの?

という疑問がわいてきますよね?

というわけで、まずはこの疑問をとっかかりにして、「製造販売元」であるシンシアの立ち位置を確認していきたいと思います。

「発売元」のあり/なしのカラコンの流通経路の違い

先ほどのキャレムドールとフェアリーワンデーの違いを簡単にまとめてみました。

発売元が入る場合と入らない場合のカラコンの流通経路の違いの図~キャレムドールとフェアリーワンデーを例に~

キャレムドールの場合は、実際に販売しているのは発売元のCLB東京になります。CLB東京のような発売元になる会社は

  • モデル
  • レンズデザイン
  • パッケージ
  • 価格
  • 販売してもらうお店

などを決めつつ、「製造販売元」にレンズをつくってもらい、在庫を持って販売活動をしていきます。

この場合、「製造販売元」であるシンシアの役割は、裏方に徹し、製造責任をもって海外工場との調整をし製品の検査した上で、発売元に納品することになります。

発売元が入らない場合は、「製造販売元」がすべての業務を担います。

製造メーカーと販売会社が分かれていることは一般的になってきた ~セブンオリジナルの例~

似たような取り組みの例はいろんなところにありますが、身近でわかりやすいのは、セブイレブンのオリジナル商品です。

セブンプレミアムのお菓子パッケージ表

裏面を見ると、

セブンプレミアムのお菓子パッケージ裏

セブンイレブンの母体のであるセブン&アイグループの名前といっしょに、実際の製造メーカー「おやつカンパニー」という名前が書いてありますね。おやつカンパニーは、ベビースターラーメンなどで有名な食品メーカーです。

セブンイレブンは企画・販売の役割を担い、製造責任はおやつカンパニーというメーカーが担っているということがわかります。

セブイレブンとしては、自社独自の商品(PB:Praivate Brand:プライベートブランド、と言ったりします)にすることで、

  • 自社のみの商品で他のコンビニと違いを出せる
  • 多くの場合、他社のブランドを売るより高い利益を出せる

というメリットがあるのです。

このように、販売力や企画力に自信がある会社が、実際に製造することができる会社に生産だけを依頼することは今の世の中ではよくあることなのです。

「製造販売元」って難しい名前はなんなの? ~製造販売は法律用語~

なるほどなるほど、それでは「製造販売元」っていうのは、発売元の裏方に入ることもあるけど、基本は「製造」メーカーで、「製造」して「販売」している「元」なのかーと思ってしまいますが、実はそんなに単純な話ではありません

カラコンの製造はほとんど海外企業が請け負っている

知っている人も多いと思いますが、カラコンのほとんどが韓国や台湾でつくられています。しかも、つくられている工場は、海外にある自社工場ではなく、海外にある別の会社の工場なのです。

つまり、実際にカラコンを製造しているのは工場を持つ海外の別会社なのです。

製造販売元は用途に応じて使い分けて海外の工場を持つ企業にカラコンの製造を委託している例の図~キャレムドールとフェアリーを例に~

たとえば、フェアリーは、2016年8月現在、ワンデータイプは台湾のA社に、一ヶ月タイプは韓国のB社に製造を委託しています。

ほとんどのカラコンの製造販売元は、このように海外企業に製造を委託しています。なお、シンシアでは工場を持たないというメリットを活かして複数の海外企業と提携しているのですが、詳しくは後述する「マニア向けコラム:製造販売元が自社工場を持たないメリット」をご覧ください。

「製造販売元」のホントの意味 ~国にカラコンを認めてもらう手続きができる会社~

ここからは、難しい漢字が連発されますので、「うっ」と思ったら、画像を眺めるようにして、本文は適宜、読み飛ばしてください。

じゃあ、「製造販売元って何しているの?レンズの輸入会社?」という気がしてきてしまいますが、やはり「製造販売元」は日本でカラコンを販売する重要な役割を担っているのです。

実は、製造販売元というのは法律用語で「カラコンを国に許可してもらうための承認申請をし、許可を受けることができる企業」を指します。「このフェアリーワンデーってカラコンを日本で売ってよいよ」と国に許可をもらうことができるんですね。

製造販売元は国にカラコンを認めてもらう手続きができる会社を図で解説

製造販売元は、国に「カラコンをつくって売りたいので、許可してください」と申請します。すると、国は審査を行い、許可する場合はそのカラコンに「製造販売承認」というのを与えます。

「製造販売承認」をもらうと、そのカラコンは国の分類として「高度管理医療機器」として認められたことになり、日本で製造して販売することができるようになります。カラコンのパッケージの裏についている「承認番号」というのは国が認めたカラコンなどの医療機器を管理するための番号です。

そういうわけで、法律上、国に申請して承認を受けているのが製造販売元なので、製造責任も販売する権利も申請した製造販売元にあるから「製造販売」という用語になるんです。

カラコンを売るにはいろんな許可を国からもらわないといけない

先ほど確認したように、カラコン自体「国から製造販売承認」をもらう必要があるんですが、そもそもその申請をする「製造販売元」も国から「製造販売業の許可」をもらう必要があります。その他、カラコンがみなさんの手に届くまでの流れは、いろんな会社がいくつもの許可を国からもらった上で成り立っているんです。

レンズをつくれる工場を持っているからといって勝手につくっては、ユーザーに直接販売出来るコンビニを持っているから、といって勝手に販売してはいけないんです。

カラコンはいろんな企業が様々な許可を国から受けて流通している

  • 海外の工場は「医療機器外国製造業者の登録」が必要
  • つくるには「第一種医療機器製造業の許可」が必要
  • 売るためには「高度管理医療機器販売業の許可」が必要
  • 製品を国に認めてもらう申請をするには「製造販売業の許可」が必要
  • 製品自体には「製造販売承認」が必要

となっています。ややっこしいのですが、日本の法律上では、「製造販売業の許可」だけを持っていても、カラコンはつくれないし、販売もできません。あくまで、製造販売業はカラコン自体の許可の手続きができるという免許と考えてもよいです。

カラコンは危険かもしれないものであるからこそ、製造から販売まで国も様々な許可を用意しているということがわかりますね。なお、当然ですが、カラコンの無許可の製造、販売については法律で禁止されており、破った場合の罰則もあります。

なお、医療機器の頭についている「高度管理」とか、医療機器製造販売業の頭についている「第一種」というのは、それぞれ国の分類で、ざっくりと医療機器とされているものたちの中でも、一番慎重に取り扱わなくてはいけないというされているものになっています。詳細は省略しますが、いづれどこかで触れたいと思います。

「カラコンが手元に届くまでにどんな企業が関わっているの?」のまとめ

今までをまとめると、カラコンは

  • 「発売元」という企画・販売会社が入ることもある
  • 製造自体は、海外の現地の独立した会社が行っていることが多い
  • 国の許可をうけた「製造販売元」が製造責任をもって、国の承認申請を行っている

というようにみなさんの手に届くまでには、国から規制を受けた様々な企業がかかわっていることがわかりました。

次は、準備編の「日本におけるカラコンをつくって売るまでのルールの概要」の二つ目として、国にカラコンを認めてもらう際にどんな審査基準があるの?ということについてみていきたいと思います。

1.「カラコンの製造や販売に関わる企業の規制」まとめ

マニア向けコラム:製造販売元が自社工場を持たないメリット

製造販売元が海外の工場を持つ企業に製造委託していても、日本における製造責任はシンシアのような製造販売元が負ってます。そのような責任を負いつつ、なぜ自社工場をつくらないのでしょうか?

一見、自社工場のほうが多くの利益が確保できる気がするので、自社で工場をもったほうがいい気がします。

しかし、自社工場がある場合、維持しているコストを賄うために自社工場の生産性を上げなくてはいけないので、

  • いろいろなスペックのレンズを生産するという柔軟性
  • 新しい流れに対応するという即応性

が弱い傾向にあり、あえて自社工場を持たないという選択が良いこともあります。

コンタクトレンズは

  • クリアレンズ/カラコンの違い
  • マンスリー/ワンデーの違い
  • 色使いの違い

など、一つの工場における得意不得意ができやすい領域なので、このようにあえて自社工場を持たず、目的に応じて最適な工場を選んで製造を委託することについてメリットがあるんです。このような工場を持たず製品設計に特化している製造メーカーのことをファブレスメーカーと言ったりします。任天堂やiphoneのアップル社もファブレスメーカーとして有名な企業です。

カラコンの製造販売元の多くは2社程度の海外工場との付き合いしかないことが多いのですが、2016年8月現在、シンシアでは5社以上の海外工場と提携しカラコンやコンタクトレンズの製造販売をしています。シンシアでは複数の海外企業と提携しても品質管理ができるほど日本での管理体制が充実しているので、工場を持たないというメリットをフル活用して、多くの工場と提携ができているんです。

カラコン/コンタクトレンズの製造販売元で、5社以上の海外工場と提携している企業は私が知る限りシンシアだけ(海外工場との提携数は基本的に各社非公表)です。

なぜ「安全性を重視」したカラコンって言えるの?~日本の承認基準~

さて、「製造販売元」がカラコンを国に認めてもらうためにいろいろ手続きをすることはわかりました。それでは、どんなレンズであれば国は「日本で売っていいよ」と許可してくれるのでしょうか?また、よくカラコンの通販サイトには、「厳しい日本の審査基準」「安全性を重視」みたいな表記が並んでいることが多いと思います。具体的にどんな審査基準があるのでしょうか?

ここでは、「日本におけるカラコンをつくって売るまでのルールの概要」の二つ目として、国の定めるカラコンの審査基準を具体的に確認したいと思います。

度なしカラコンは2009年まで審査基準はなかった

実は、2009年までは、度なしカラコンは国の審査抜きにつくって売ることが出来ました。渋谷の若者に高発色カラコンが大人気だった時代です。しかし、度なしカラコンによる眼障害が増えているという社会問題がおき、その後、普通の度ありコンタクトレンズと同様に度なしカラコンも国の審査が必要になりました。(度ありのカラコンをつくる場合はこのときも国の審査が必要でした。)

2009年施行された省令で、度なしカラコンを含むソフト/ハードコンタクトレンズの承認基準は、コンタクトレンズ承認基準という文書にまとめられています

具体的な審査基準の例

審査基準は、細かい数字とかでてきてややっこしいので、シンプルなちゅるん系のブラウンのサークルレンズを例にして少しずつ紹介していきたいと思います。

DIAの承認基準は認定値の±0.20mm以内

DIA(レンズ直径、色がついている部分ではなくレンズ自体の直径)を例にとって、わかりやすく図にしてみました。

カラコンの承認基準例1~DIAは±0.2mm以内~

知らなかった人は驚くと思いますが、日本のカラコンの承認基準では、DIAは認定値の±0.20mm以内であればよいので、図のように認定値が14.0mmだとすると、13.8~14.2mmの間であればOKなんですね。0.1mm単位の調整って結構難しいんだなーって思いました。「えー!着色直径を0.2mm単位で気にしていたのに、そんなのってあり?」と思いますよね?でも、安心してください。ちゃんとしたメーカーであればあるほど、基準値からのズレがある製品は少ないようです。

パッケージに表示されるスペックの承認基準

次に、パッケージに書かれているスペックを例に見てみたいと思います。

カラコンの承認基準例2~パッケージに記載されているスペックの基準~

日本のカラコン承認基準では、それぞれのスペックの認定値からズレの許容範囲は以下の通りとなっています。

  • DIA(レンズ直径):±0.20mm以内
  • BC(ベースカーブ):±0.20mm以内
  • 頂点屈折力(度数)
    • 0.00以上±10.00D以下:±0.25D以内
    • ±10.00Dを超え±20.00D以下:±0.50D以内
    • ±20.00Dを超える:±1.00D以内

図の例のレンズに当てはめると、許容範囲は次のようになります。

項目 認定値 許容範囲
DIA 14.0mm 13.8mm~14.2mm
BC 8.6mm 8.4mm~8.8mm
P(度数) -2.25D -2.00D~-2.50D

確かに、0.1mm単位でぴったりのものをつくるのは難しいことを踏まえると、実際にあまりにズレている製品が出てきた時に許容範囲をめぐってモメそうなので、多少のズレは許容していかないといけないですよね。

その他、スペックに関する細かい基準

数値で明示されている基準は先ほどのDIA等を含めると以下のようになります。

コンタクトレンズ承認基準の数値基準が決まっている項目~DIA(レンズ直径)、BC(ベースカーブ)、頂点屈折力(度数)、厚さ、視感透過率、酸素透過係数、屈折率、含水率、プリズム誤差~

その他、数値で明示された基準以外の項目でも

  • 内部に気泡、不純物または変色があってはならない
  • 表面に角膜等に対して有害な傷又は凹凸があってはならない
  • レンズから毒素がでるか試験すること
  • ケア用品の洗浄剤との相性を検査すること

のようなものがあり、様々な観点から承認基準はつくられていることがわかります。

日本の承認基準はホントに厳しい?

よく「厳しい日本の審査基準」というワードをカラコンの販売ページで見かけますが、ホントに日本の審査基準は厳しいのでしょうか?

いくつかの事実を確認していきたいと思います。

世界比較をしてもコンタクトレンズ自体の規制が厳しい日本

カラコンが国の規制の対象になる前の平成20年7月に行われた調査では、日本のコンタクトレンズ承認基準は、韓国、イギリス、日本、アメリカの中では2番目に網羅性が高いことがわかります。カラコンの承認基準は、コンタクトレンズとほぼ一緒なので、同様に網羅性が高い基準と言えるでしょう。

NITEの調査によるコンタクトレンズ承認における試験項目数の国別比較

アジアの国の中では日本のカラコンの承認基準は信用されている

先ほどの調査で比較されている4ヵ国は、そもそも世界的に見ても基準が厳しい国々なのです。シンシアでは、タイ・マレーシア・香港・台湾・中国・アメリカなど複数の海外の国でコンタクトレンズの承認取得済または申請中だということですが、そこでの体験から日本は厳しい基準があるということを再確認したそうです。

また、先ほど確認してきたように、コンタクトレンズ自体のスペック等の基準以外にも、日本では、製造工場の体制に対する基準、製造販売元の管理体制の基準など、つくったり管理したりする企業へのルールも法律とそれに基づく省令で定められており、国としてのコンタクトレンズの管理体制も厳しいと言えるでしょう。

度なしコンタクトレンズの製造が規制されている国は多くない

先ほどの調査は日本でカラコンを販売するのに許可が必要になる前に実施されたものですが、9ヶ国の度なし/度ありコンタクトレンズの規制の有無についても調査しています。

調査では、2008年の段階で度なしのコンタクトレンズ≒カラコンは調査対象の9ヶ国中アメリカを除く8ヵ国で、製造に関する規制がないと報告しています。日本は2009年から度なしカラコンの製造については国の許可が必要なりましたので、特にカラコンについては国の厳しい規制があると言えます。(2008年からだいぶ経っているので最新の情報が知りたいところですが、日本は2009年に度なしカラコンにも規制が入ったので、少なくとも対応が早いと言えます)

「なぜ『安全性を重視』したカラコンって言えるの」のまとめ

いったん、またまとめますと、

  • 日本ではカラコンを国が基準を設けて製造と販売について管理している
  • 日本のカラコンの承認基準は具体的で網羅性が高い
  • 2008年頃では世界的にみても度なしコンタクトレンズの製造が規制されている国は多くない

ということが確認でき、コンタクトレンズ承認基準というかたちで日本ではかなり厳しく安全性を高めるためのルールが存在しているしているということが分かったと思います。次は、準備編の「日本におけるカラコンをつくって売るまでのルールの概要」の三つ目として「カラコンの製造販売元メーカーの法律上の義務」についてみていきたいと思います。

2.「カラコンに対する日本の厳しい承認基準」まとめ

マニア向けコラム:PMDAってなんだ??

PMDAというのは、独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」という団体の略称です。漢字が多くて目が痛い・・・ですね。。。

PMDAは、厚生労働省の委託を受けて、病院で処方してもらう医薬品や、カテーテルやメスや除細動器など、またカラコンを含むコンタクトレンズなど様々な医療機器の国の承認処理の実務を担っている団体です。

医薬品医療機器等法(薬事法は2014年に改正されて医薬品医療機器等法という略称が用いられるようになりました)の管轄官庁は厚生労働省なのですが、実際の医薬品・医療機器の審査や管理業務など細かいことは手間がかかるので、独立行政法人に委任しているんですね。

PMDAは、

  • 医薬品・医療機器の承認審査
  • 安全対策
  • 健康被害救済

などを中心とした業務を行っています。カラコンを含むコンタクトレンズに関連する業務は全体からみるとほんの一部の業務です。

ただ、近年のカラコンの不適切な使用に眼障害者が増加傾向にあることを受けて、eyecareカラコンというサイトをつくるなど、カラコンの適正使用を促進するための啓蒙活動も大々的に行っているので、一般の方に眼に触れる機会もあると思います。

法律上メーカーが守るルールはあるの?~製造販売元の義務~

どんなカラコンなら認められるのか?という点に加えて、日本の法律では製造販売元がどんな体制を整えるべきか?ということも定めているんです。

そこで、準備編の最後として、法律上のカラコンの製造販売元メーカーの義務について代表的なものを簡単に紹介しておきたいと思います。ここも法律上のルールのため、固く難しそうな漢字が連発されますので、以下の3点のみ覚えて、最初はざっと読み飛ばしてください。

  • 3役という責任者を決めて管理体制を明確にする
  • 国の品質管理ルールを守る
  • 国の販売後のリスク管理ルールを守る

一つずつ見ていきます。

3役という責任者を決めて管理体制を明確にする

第一種製造販売業の許可をもらうには、申請書に製造販売業の責任者の名前を書いて申告しなくてはいけないというルールがあります。この製造販売業者の最終的な責任者のことを総括製造販売責任者というんです。

国に認めてもらったカラコンを日本で供給するには、具体的な個人を責任者として明確にし、管理体制を整えなくてはいけないんですね。なお、製造販売元はそれぞれの分野に応じて、総括製造販売責任者を含め3役という3人の責任者を決めなくてはいけないんです。

製造販売元に設置義務のある総括製造販売責任者等の3役

  • 製造販売業の全体の責任者・・・総括製造販売責任者
  • 製造工程内での品質管理における責任者・・・国内品質業務運営責任者
  • 販売後の安全性を監督する責任者・・・安全管理責任者

総括製造販売責任者は、国内品質業務運営責任者と安全管理責任者を管理する一番エラい人となっております。各分野に責任者を明確に設置することで、それぞれに専門的なノウハウやスキルが溜まり、より良い管理体制が構築できるというわけです。

国の品質管理ルールを守る

国内品質業務運営責任者の設置義務と位置づけ

カラコンをつくるにあたって、製造販売元はQMS省令というルールに基づいた体制を構築し、製造元を管理・また国内の倉庫での品質チェックを実施し、カラコンの品質を確保していかなければなりません。

QMSというのは、Quality Management System(クオリティ・マネジメント・システム)の頭文字を3つとったもので、要するにQMSとは品質管理システムということです。

この品質管理業務の責任者が国内品質業務運営責任者です。QMS省令で、製造販売元に国内品質業務運営責任者の設置を義務付ています。

製造販売元における国内品質業務運営責任者の業務区分

QMS省令の具体例

では、法律上ではどんな品質管理システムを製造販売元は構築しないといけないのでしょうか?具体的に、省令を抜粋したいと思います。

(品質管理監督システムの文書化)
第六条  製造販売業者等は、前条第一項の規定により作成する品質管理監督システムに係る文書に、次に掲げる事項(限定第三種医療機器製造販売業者(一般医療機器のうち製造管理又は品質管理に注意を要するものとして厚生労働大臣が指定する医療機器以外の医療機器(以下「限定一般医療機器」という。)のみを製造販売する製造販売業者をいう。以下同じ。)にあっては、第一号を除く。)を記載しなければならない。
   一  品質方針及び品質目標
   二  品質管理監督システムの基準
   三  各施設における工程について、実効性のある計画的な実施及び管理がなされるようにするために必要な事項
   四  この章に規定する手順及び記録
   五  その他薬事に関する法令の規定により文書化することが求められる事項
      2  製造販売業者等は、製品ごとに、その仕様及び品質管理監督システムに係る要求事項を規定し、又はこれらの内容を明確にした文書(以下「製品標準書」という。)を作成し、これを保管しなければならない。
      3  製造販売業者等は、製品標準書において、各施設における当該製品に係る製造工程の全てを定めるとともに、第四十二条第一項の設置及び第四十三条第一項の業務を行う場合においては、その業務の内容について定めなければならない。
「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成十六年十二月十七日厚生労働省令第百六十九号)」より抜粋

これは、製造販売業者が様々な工程においての記録を文書で残したり、予めマニュアルを作成したりしなくてはいけないということを規定したものですが、このように国が定めている規定は非常に抽象的でカラコンに特化しているわけではないので、カラコンの製造販売元はそれぞれ独自に具体的なルールをつくってそれを守っていかないといけないのです。

国の販売後のリスク管理ルールを守る

安全管理責任者の設置義務と位置づけ

カラコンを販売した後、売りっぱなしであってはいけないというのが国のスタンスで、国は販売した後に不具合はないか情報収集すること、万一不具合があった場合は自主回収をすること、予めその手順を文書にまとめておくこと、などを製造販売元の義務として定めています。それらのルールを定めているのが、GVP省令といいます。

GVPはGood Vigilance Practice略で、日本語では、製造販売後安全管理の基準と言われています。

この製造販売後安全管理業務の責任者が安全管理責任者です。GVP省令で製造販売元に安全管理責任者の設置を義務付ています。

製造販売元における安全管理責任者の業務区分

GVP省令の具体例

QMS省令同様に、GVP省令についても具体例を見てみましょう。

(安全管理情報の収集)
第七条  第一種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、次に掲げる安全管理情報を安全管理責任者又は安全管理実施責任者に収集させ、その記録を作成させなければならない。

   一  医療関係者からの情報
   二  学会報告、文献報告その他研究報告に関する情報
   三  厚生労働省その他政府機関、都道府県及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構からの情報
   四  外国政府、外国法人等からの情報
   五  他の製造販売業者等からの情報
   六  その他安全管理情報
     2  第一種製造販売業者は、安全管理実施責任者に前項に規定する業務を行わせる場合にあっては、安全管理実施責任者に前項の記録を文書により安全管理責任者へ報告させなければならない。
    3  第一種製造販売業者は、安全管理責任者に前二項の規定により収集させ、又は報告させた記録を保存させなければならない。
「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成十六年九月二十二日厚生労働省令第百三十五号)」より抜粋

QMS省令と同様に、GVP省令も非常に難しく抽象的で、カラコンに特化しているわけではないですね。

「法律上メーカーが守るルールはあるの?」のまとめ

以上をまとめると、

日本の法律で定められた製造販売元の義務を図解~総括製造販売責任者等の設置、QMS省令に基づく品質管理と国内品質業務運営責任者の設置、GVP省令に基づく安全管理と安全管理者の設置~

  • 3役という責任者を決めて管理体制を明確にする・・・総括製造販売責任者等の設置
  • 国の品質管理ルールを守る・・・QMS省令に基づく管理
  • 国の販売後のリスク管理ルールを守る・・・GVP省令に基づく管理

というのが、法律上のカラコンの製造販売メーカーの主な義務であることが分かったと思います。

難しく長い漢字ばかりで、とてもわかりづらかったですね・・・

3.「法律上のカラコン製造販売メーカーの義務」まとめ

マニア向けコラム: 日本ではカラコン独自の審査基準が生まれつつある?

2009年に国の審査が必要になった後、度なしばかりだったカラコンが火が付いたように度ありにも対応し、一気にユーザーが広がっていきました。インターネット/スマホの普及も受けて、カラコンは爆発的な普及を見せ、2014年には、国民生活センターからカラーコンタクトレンズの安全性-カラコンの使用で目に障害も-というレポートが発表され再度カラコン使用による眼障害が問題提起されることになります。

このレポートでは、ほとんどのカラコンのスペックが国の基準外であったり、いくつかのレンズでは着色が漏れたりしており、眼障害の危険性があると指摘されました。そのため、業界関係者は騒然となりました。しかし、あまり報道されていないのでご存じでない方が多いようですが、後に厚生労働省の調査により、スペックが国の基準外だったという部分は国民生活センターの調査が適切な方法で行われなかったためということがわかりました。(平成 26 年度 総括・分担研究報告書:カラーコンタクトレンズの規格適合性に関する調査研究」参照)

しかし、国民生活センターの調査レポートは方向性は最もであり、これを契機に、カラコンの安全性を高める取り組みは活発化し、実質的な審査基準は厳しくなっているように見受けられます。

厚生労働省の通知群を見ると、

  • 紫外線吸収剤(UVカット剤)を利用した場合はそのテスト
  • 着色外径、着色内径についての明示
  • 着色の工程の明示

などが実質的に審査基準に盛り込まれるようなってきている可能性が感じられます。

今後、コンタクトレンズ承認基準もわかりやすく改定され、明示的にカラーコンタクトレンズの承認基準というの付けくわえられる日が来ることもあるかもしれません。

製造販売元のシンシアの安全性を高める3つの仕組み

やっと本題に入ってきたいと思います。

パッケージ裏に承認番号があるレンズはすべての日本の許可をうけており、製造販売元には法律に基づく組織体制を構築する必要があるということが、ここまででわかりました。

しかし、日々カラコンを使うユーザーとしては、いろいろなと不安が頭によぎります。そこで

  • 韓国製品や台湾製品って適当なんじゃないの?
  • いつも日本基準で納品されている保証はあるの?
  • カラコンの使い方ってちゃんと説明しているの?

の3つの悪い方に勘ぐってみた疑問について、シンシアがどのように対応しているか教えて頂いたことを紹介していきます。

韓国製品や台湾製品って適当なんじゃないの? ~工場の選定方法と査察体制~

大変失礼な話ですが、なんとなく日本製が一番!韓国製品や台湾製品ってなんか大雑把なイメージ・・・という印象があります。なので、

  • どんな基準で工場となるメーカーを選んでいるのか?
  • 工場ではどんな検査をしているのか?
  • 工場には定期的にチェックに行っていたりするのか?

という点について、「ぶっちゃけどうなのよ?」と聞いてみたところ「ちゃんとしてるよ」と詳しく教えくれました!

シンシアにおけるカラコン製造工場の選定基準

工場の選定は、QMS省令に適合しているかどうかをチェックした上で、さらに独自の社内規定に合うかどうかをチェックして、行っているそうです。

大まかな選定基準項目

細かい基準については社外秘ということなのですが、大雑把にあげると、提携工場にはだいたい以下のような項目について確認します。

  • 製造管理及び品質管理の手順
  • 出荷に関する手順
  • 製造方法・試験検査方法等の技術
  • 定期的な査察の受け入れ体制
  • 運搬及び受け渡時の品質管理方法
  • 製造方法・検査方法の変更の事前連絡手順
  • 製品情報の連絡体制

これらがシンシアが求める基準を満たす場合、具体的に契約することになります。

これだけだと、いまいちよくわからないですね・・・。というわけで、一つだけ具体的な基準を教えてもらいました。

カラコンの着色がサンドイッチ構造かどうか

具体的に一つ上げると、製造されたレンズの着色構造がサンドイッチ構造になっているかどうかという点に特にこだわっているということです。

サンドイッチ構造というのはあたりまえのように聞こえますが、QMSやコンタクトレンズの承認基準では、カラコンは着色材がレンズとレンズの間に挟み込まれたサンドイッチ構造でなくてはいけないとは記載されていないのです。

しかし、やっぱりサンドイッチ構造のほうが安心感があるということで、シンシアでは数千万円の設備投資をし走査型電子顕微鏡というのを購入してまでカラコンの着色がサンドイッチ構造かどうかをチェックしているんです。なかなかのこだわり方だと思います。

で、そのチェックに使っている走査型電子顕微鏡というものを見せてもらいました。

走査型電子顕微鏡

デカい。。。

さらに、この走査型電子顕微鏡は全く顕微鏡っぽくなくて「コンピュータですか???」って聞きたくなるような外観です。なので、実際にチェックしてどのようにレンズが拡大されるのか見せてもらいました。

走査型電子顕微鏡で実際のカラコンの着色構造の状態を確認してみる

実際にこの顕微鏡でレンズをチェックすると、なんとパソコンのディスプレイに映し出されるんです。以下の画像は、レンズの断面を横から走査型電子顕微鏡で見た状態です。

走査型電子顕微鏡でレンズの断面を横から見た図

0.1mmをきるようなとても薄いレンズがとても大きく映し出されるんです。

しっかりとレンズの中に着色剤があることも確認できます。(レンズの表面とその内側の層が異なる素材のように見えますが、これは着色部分をフォーカスしたために各表面部分がややぼやけているためということです。)

走査型電子顕微鏡でレンズの断面を横から見た図~サンドイッチ構造になっているという注釈あり~

サンドイッチ構造の確認方法からも工場の選定にも並々ならぬこだわりをもっているということがわかります。

過去に提携先を増やす過程で基準外の工場もあったということで、なかなか工場選びにも苦労が多いということです。

シンシアの提携製造メーカーの工場での検査体制

カラコンは様々な工程を経てつくられており、すべての提携工場では各工程毎に検査が入っています。

提携工場によっては日本以外の国向けの製品を製造していたり、シンシアが委託しているレンズも1つの素材だけでなく複数の素材だったり、特にカラコンの場合はレンズデザインがたくさんあったり、いろんなレンズが混在しないような体制をつくってもらう必要があるんですね。

カラコンの製造工程毎に検査を実施

  1. 材料の調整⇒検査
  2. レンズ型に素材を流し込み、着色(シンシア製品はすべてサンドイッチ方式による着色)⇒検査
  3. 固める⇒検査
  4. 水分を含ませる⇒検査
  5. 洗浄⇒検査
  6. 減菌と一次包装(プラスチックのブリスターケース)への梱包⇒検査
  7. 箱の二次包装への梱包⇒検査

提携工場での具体的な検査項目例

工程によって検査項目は異なりますが、わかりやすい項目としては次のような検査を行っています。

  • 度数
  • 厚み
  • サイズ
  • レンズのデザイン、色
  • デコボコしているところはないか
  • 液漏れはしていないか
  • パッケージの様子

シンシアでは、生産した全レンズを人もしくは装置を使って検査を実施し、不具合のあるレンズを排除するシステムをつくっています。提携先の1つには、製造後のレンズのデザインをすべて画像診断装置でチェックし、プリント不良レンズを排除する機械を入れているところもあるということです。

シンシアの提携製造メーカーの工場での検査体制まとめ

シンシアにおける工場の査察体制

提携している製造メーカーへの実地調査にいくことは、QMS省令上の製造販売元としては必須事項ですが、その頻度や方法について具体的な基準はありません。なお、製造工場へは、カラコンの製造販売承認をとるときに国の委託を受けたPMDAの調査員が調査検査に行っており、また数年に一度というタイミングで定期的な実地確認が行われます。

提携元との信頼関係の強化という狙いも含めて、シンシアでは独自に以下のような査察体制をとっています。

  • 対象:すべての提携先の製造メーカーの工場
  • サイクル:最低一年に一回
  • 派遣調査員数:数名(品質を担当する部署である薬務部からだいたい2,3名)
  • チェック項目:日本の法律ならびに医療機器に特化した国際基準で要求されている事項
  • 懸念事項の発見時の対応:期間を明確にした改善計画をたて実施、その後さらに措置内容の効果を確認

頻度や具体的な査察内容・査察体制については、メーカーが独自に行っているものなので、メーカーのこだわりが現れる部分ですね。

シンシアにおける工場の査察体制のイメージ

「韓国製品や台湾製品って適当なんじゃないの?」のまとめ

以上のようにシンシアでは

  • 日本の法律に基づいた基準にあう体制が整った工場と提携している
  • 提携工場自体でも万全の検査をしている
  • 定期的に提携工場に監査をしている

というようにシンシアではしっかりした体制で工場と提携していることがわかりました。

4.「国際基準による製造工場の選定と査察」まとめ

マニア向けコラム:医療機器承認番号が書いていないカラコンが売っているサイトがあるけど、あれ何?

先ほど確認してきたように、日本でカラコンを販売するには

  • カラコン自体が国から製造販売承認を受ける
  • 販売店は「高度管理医療機器販売業」の許可を受ける

ということが必要です。

しかし、海外の企業が運営する海外直送のカラコンサイトというのが、少し調べるとたくさん出てきます。

  • 販売されているカラコンは、医療機器承認番号は記載されない
  • ECサイトには、「高度管理医療機器販売業」を取得しているという記載されていない

このようなサイトはなぜ存在するんでしょうか?

実は、法律上、国の許可を得てないカラコンであっても個人の利用に限って二か月分まで自己責任で輸入する(個人輸入)することは認められているんですね。ですので、違法行為ではありません。(これらの許可を受けていないカラコンを販売しているサイトが有料のインターネット広告を利用して、広告宣伝活動をしている場合は違法行為となります。広告を掲載しているメディア企業も罰則を受ける違法行為となっていますので、広告メディアを運営している皆様はご注意ください。)

しかし、個人的には、しっかりした日本語サイトを用意しながらも無許可のカラコンを販売するのは、脱法行為に近いグレーゾーンであると言え、良い状態ではないと考えています。

そもそもカラコンを含む医薬品・医療機器の個人輸入は必要迫られているのに日本の許可を受けていないためどうしても日本では手に入らないものを入手するための最後の手段です。わざわざしっかりした日本語のカラコン個人輸入者向けの販売サイトをつくるなら、しっかり日本の法律に沿って許可を受けて販売活動をすべきで、許可を受けることを飛び越して、販売しているのは各種法令の理念からいっても筋違いであり、日本の法律に沿って製造販売活動をしているメーカーの利益を毀損していると思います。

カラコンユーザーのみなさんも安易に海外直送サイトは利用しないようにし、どうしても自分の目に合うカラコンが日本で入手できないという方は、医薬品等を海外から購入しようとされる方へという厚生労働省の案内をよく見て、リスクを十分に検討し個人輸入でカラコンを入手できるサイトの利用を判断してください。

いつも日本基準で納品されている保証はあるの? ~機器を用いた抜き取り検査~

大変失礼な話ですが、工場の人たちって、最初やチェックに行ったときはしっかりやっていても、いつもそうしているかはわからない気がしています。なので、

  • 日本に持ってきたときに抜き取り検査みたいのってしているの?
  • もし、検査していたらどんな風に検査しているの?

という点について、「ぶっちゃけどうなのよ?」と聞いてみたところ詳しく教えくれました!

シンシアにおける日本での機器を用いた抜き取り検査

シンシアでは、「抜き取り検査手順書」を予め定めていることで、カラコンが納品されるたびに、決まりにしたがっていくつかレンズを抜き取り、基本的なスペックの検査を行っています。

もちろん、製造元でも検査をすることになっているので、その検査記録も納品時に出してもらって確認しているけれども、日本における製造責任を負っている立場として、シンシア独自で機器を利用して検査することにしています。

シンシア独自の検査があることで、製造元としても手を抜くスキがなく必ずしっかりした製品を納品してくるので、最終的にカラコンユーザーに良い製品を届ける好循環のサイクルが生まれていくということですね。

具体的な検査対象項目

コンタクトレンズ承認基準のうち以下の基本スペックを対象としています。

  • DIA(レンズ直径)
  • 着色直径
  • 着色内径(色のついていない中心部分)
  • BC
  • 度数
  • 厚さ
  • 色味
  • デザインを含む形状および外観

「色味」「デザインを含む形状および外観」以外は、複数の専用の機器を用いて数値を測定し、予め決められた値のズレが承認基準内かどうか検査しています。「色味」と「デザインを含む形状および外観」については、目視で異常がないかを確認しています。

検査に利用している機器

具体的な機器の商品名や型番などは社外秘ですが、それぞれ以下のような機器を用いてチェックしています。

機器名 検査対象項目
コンタクトレンズディメンションアナライザー(投影機) デザインを含む形状および外観,BC,DIA,着色外径,着色内径
厚み計 厚さ
レンズメーター 度数
標準光源装置 色味

シンシアには、これ以外にもたくさんの機器があり、日々の抜き取り検査ではなく、新レンズを開発する際の初期チェックや、年単位での定期検査に際して、「酸素透過係数(レンズが酸素通す度合い)」や先ほど紹介した走査型電子顕微鏡を用いた「レンズの着色構造」などをチェックしています。

シンシアにおける日本での抜き取り検査項目と利用検査機器

実際の検査の流れや検査例

実際に抜き取り検査をする例として、外観やDIAなどをチェックするコンタクトレンズディメンションアナライザーを利用した検査の様子を実際に見せてもらいました。

検査前の出荷物の様子

シンシアにおける抜き取り検査前の出荷物の様子~オレンジの検査中ラベルが貼られている~

シンシアでは、製造元から納品されると、出荷物にはオレンジの「検査中」というラベルが貼られるんです。抜き取り検査が終わるまで、どんなに取引先が納品を早くしてくれといっても、出荷しないルールになっています。

コンタクトレンズディメンションアナライザーでレンズのDIAや着色直径を測定してもらった

実際に、機器を用いた抜き取り検査をしている様子を見せてもらうために、フェアリーワンデーナチュラルブラウンのDIAを測定してもらいました。

今回の検査の様子で使用したフェアリーワンデーナチュラルブラウンのブリスター

コンタクトレンズディメンションアナライザーは、このような概観をしています。マニアックな映写機のようですね。

DIAなどを測定するコンタクトレンズディメンションアナライザーの概観

中心にあるレンズをセットする箇所に、ブリスターに入っている液と同様の製法でつくられた液を入れ、その後にレンズを入れます。

コンタクトレンズディメンションアナライザーにフェアリーワンデーナチュラルブラウンを入れた様子

すると、このようにレンズがとても大きく映し出されます。これで、投影機という意味が良くわかりました!

コンタクトレンズディメンションアナライザーにフェアリーワンデーナチュラルブラウンを投影した様子

コンタクトレンズディメンションアナライザーでは、左右にメモリがついており、0.1mm単位でレンズ直径や、着色外径・内径が測定できるようになっています。

ショップ店長としては、0.1mm単位の測定ってどうやるんだろうって疑問だったんですが、「こんな機器があるなんて!着色直径が公表されていないレンズの着色測るのにほしい!」と思いました。

検査結果は手順書に基づいたレポートにまとめる

DIA以外の検査もしたら、最終的に文書にまとめて保存します。入荷するレンズの種類に応じて抜き取り検査する数も増えるようで、結構な作業になるようです。

実際に抜き取り検査の記録をしたレポートのイメージ

実際のレポートは社外秘というなので、遠くからと厚さだけ撮影させてもらいました。このときの検査結果のレポートは、iphone6の厚さよりも厚い量となっており、中身もぎっしり検査記録が記載されていました。

検査後の出荷物の様子

抜き取り検査が完了すると、出荷物にはグリーンの「出荷可」のラベルが貼られるようになっています。

シンシアにおける抜き取り検査後の出荷物の様子~グリーンの出荷可のラベルが貼られている~

「いつも日本基準で納品されている保証はあるの?」のまとめ

以上のようにシンシアでは

  • 「抜き取り検査手順書」を予め定めている
  • 毎回、抜き取り検査を実施、検査をしないものは出荷しない
  • 複数の項目をいくつかの機器を利用して検査

というように客観的なデータのとれる機器を利用した抜き取り検査をしていることがわかりました。

5.「機器を用いた抜き取り検査」まとめ

マニア向けコラム:シンシアの厳しい体制は、取得が必要な国際的なルール基づいている~ISO13485に基づく管理体制~

海外の工場や、日本の倉庫における管理体制がここまで厳しいのはシンシア独特の体制によるものです。3年前に、シンシアでは医療機器の取扱いに特化した国際規格であるISO13485というものを取得し、その規格が決めているルールに基づいた管理体制を行っています。ISO13485は、

  • 国際機関ISOの調査員が、実際に企業で審査を行い、認証の発行を行う
  • 認証取得後も、毎年監査にきて、特に3年に一回は数名で詳しい業務の監査を行う

という厳しいものになっています。日本では、自社工場をもっているメニコンやシードなどが取得していますが、2016年7月現在、その他のカラコンの製造販売元の中で取得しているのはシンシアのみだと思われます。(主要な製造販売元のホームページを確認したところ、取得を明記している企業はありませんでした)

ISO13485/新QMS省令では、様々な業務における文書管理を義務付けているので、

  • 製造元に送る設計書
  • 製造元に提出してもらう検査記録項目
  • 苦情処理手順のマニュアル
  • 販売データの管理マニュアル

など細かく予めマニュアル化され、さらに業務から生まれる作業データは基本的に文書で残し、一定期間保存するような体制をとっています。このように、シンシアがしっかりとした管理をしていると業界内で評判になる背景には、国際規格のISO13485に対応していることが挙げられるのです。

カラコンの使い方ってちゃんと説明しているの? ~啓蒙活動と取扱い説明書~

製造元で全数検査をしたり、シンシアで抜き取り検査をしたり、いろいろと万全を期しても、不良品というのが混じってしまう可能性はゼロではありません。

先ほど確認した通り、国は法律でカラコンメーカーに販売後でも安全にカラコンが使われるように情報提供するように義務付けています。

どんなに安全性に気をつけてカラコンをつくっても、実際に使うユーザーがカラコンの取扱いを間違えれば、眼障害になる危険は十分にあるんですね。

シンシアではカラコンメーカーの中では特にカラコンの正しい利用方法などの啓蒙活動を強く意識して行っているメーカーです。具体的な取り組み取りしては以下の三つです。

  • 医療機関への定期的なヒアリング活動
  • カラコンの販売店に対する講習会の開催
  • パンフレットの作成と取扱い説明書の同梱

それぞれ詳しく説明します。

医療機関への定期的なヒアリング活動

シンシアではクリアレンズも広く取り扱っていたり、販売しているカラコンも眼科医併設店に多く取り扱ってもらっているため、眼科医の方々とのつながりを持つ機会が数多くあります。

そのため、市場に出回っているレンズの中で、

  • 眼科に訪れるカラコンユーザーがどのようなレンズなどを使用しているか
  • 具体的にどのような症状で眼科医の元を訪れるのか

など眼科医の方々からヒアリングできる機会を持つことができています。

ユーザーからの生の声とは別に、カラコンによるリスクを一番肌で感じている眼科医の方々から具体的な情報をもらうことで、製品の改善の一助としているということです。

カラコンの販売店に対する講習会の開催

実際にカラコンをユーザーに販売するのは各販売店なので、その人たちにはしっかり眼やカラコンについての知識を持っていてもらいたいですよね。最近では、インターネットショップやドラックストア、雑貨店でのカラコンの取り扱いが増え、必ずしも販売している人たちがしっかりした知識を持っているわけではなくなっていますので、ショップの販売スタッフへの啓蒙活動も重要になってきています。

このような実情をふまえ、シンシアでは、毎年、東京と大阪で販売店向けにセミナーを開催しています。2015年のセミナーを例に内容を紹介します。

シンシアのコンタクトレンズの定例セミナー会の様子1

セミナー第一部 「コンタクトレンズの基礎」ついての講義

セミナーの第一部では、コンタクトレンズの製造関連に長年かかわってきた講師の方を招いて、眼の構造や、コンタクトレンズの機能、様々な眼障害などについての内容となっています。具体的には、以下のようなトピックスです。

  • 眼の構造と動き(眼球の機能と屈折異常の種類)
  • コンタクトレンズと涙液及び角膜との関係
  • ソフトコンタクトレンズのデザインと製法及び名称
  • コンタクトレンズの長所と短所
  • コンタクトレンズによる眼障害

セミナー第二部 「 カラコンの取り扱いと販売上の留意点」ついての講義

第二部は、シンシアの品質管理を行う部署の薬務部のメンバーが、シンシアが製造販売元として行っている品質管理についての取り組みや、カラコンの広告を行う上での法律上の注意点など、時に応じた内容になっています。

毎年全く同じ内容ではありませんが、同じ人が参加しても振り返るという意味も込めて重要なトピックスは同じです。

パンフレットの作成と注意事項の用紙の同梱

シンシアでは、以下のツールを通じてユーザーにも直接カラコンの利用の注意点を理解してもらうようにしています。

利用における注意点を啓蒙するパンフレット

シンシアでは、カラコンユーザーが正しいカラコンの使いをするように呼びかけ理解してもらうための、パンフレットを作成しています。

シンシアのカラコン啓蒙パンフレット表

シンシアのカラコン啓蒙パンフレット裏

これらのパンフレットは、販売店へ納品するレンズと複数部同梱するなどして、ユーザーに配ったり、ユーザーへの説明に活用してもらうようにしています。

注意事項の用紙の同梱

シンシアの商品の箱を開けると、「レンズ」「添付文書(≒取り扱い説明書)」「注意事項の紙」と3点入っています。

シンシア製品のパッケージをあけたときの内容物~レンズ、添付文書、注意事項の用紙~

日本の法律上は、添付文書という取り扱い説明書みたいなものをいれることが義務付けられています。しかし、添付文書はそもそもその「添付文書」という名前や、書く内容が法律に基づく厚生労働省の省令等で決まっており、一般のユーザーには少しかたく、わかりづらいものになっている傾向があります

そこで、カラコンを利用するユーザーの年齢や、インターネットやバラエティショップでは販売されるという形態を踏まえて、シンシアでは独自にパッケージの中にシンプルな「利用における注意事項」に関する紙を一緒にいれているんです。(発売元を挟まないシンシアが直接販売しているブランドのみ)

シンシア製品のパッケージ同梱の注意事項の用紙~フェアリーワンデー、セレクトフェアリーマンスリー、アイビューティー2ウィークのパッケージ別に~

「ワンデー」「2ウィーク/マンスリー」のケアがいるかいらないの違いによる使用期間によって内容を分けています。

シンシア製品のパッケージ同梱の注意事項の用紙~ワンデー、マンスリー、2ウィーク別に~

カラコン販売店として、たくさんのカラコンを見てきましたが、2016年現在シンプルな注意事項の紙をパッケージに入れる取り組みをしているメーカーはシンシアだけではないでしょうか。

「カラコンの使い方ってちゃんと説明しているの?」のまとめ

以上のように、シンシアでは

  • カラコンの販売店に対する講習会の開催
  • パンフレットの作成と取扱い説明書の同梱

を行っており、これらの取り組み/仕組みの導入している製造販売メーカーは珍しく、非常に社会貢献度が高いと言えます。

6.「販売後の安全性を高める活動」まとめ

マニア向けコラム:シンシアにおける欠陥が確認されたときの改善フロー

販売後に製品に問題が発見されたらメーカーはどのように対応するのでしょうか?

シンシアではGVP省令に基づき対応の手順を予め用意しており、その流れをちょっとだけ教えてもらえました。

シンシアでは、製品になんらかの不具合があった時、製造元と一緒に以下のような改善手順をもって対応します。不具合内容を製造元に連絡するだけでなく、その後も以下のような手順に則って責任をもって改善を実施するんですね。

  1. 欠陥の発見
  2. 製造元へ欠陥に対する原因調査依頼
  3. 製造元による調査の報告を確認
  4. 製造元への改善依頼と改善時の手順変更内容情報の提出依頼
  5. 製造元から改善した手順変更内容情報の提出を確認
  6. 実際にその後に納品された製品で改善状況を機器を用いて検査し確認
  7. 製造元から提出された手順変更が実際に実施されているか、現地へ行き実地調査

その他、お客様からの苦情等についても、手順書を予め作成し対応、また対応記録もすべて残しているそうです。その中から改善が必要なものがあれば、以上のようなフローに基づき、製造元と連携し、製品の改善を行っていきます。

非常にしっかりした対応になっているなーと感心してしまいました。

記事のまとめ

だいぶ長くなってしまったので、記事を図にまとめてみました。

図解:カラコンの日本基準とシンシアの安全性を高める仕組み

また、内容を文字で要約すると、このようになります。

まとめ:カラコンの日本基準とシンシアの安全性を高める仕組み

最後に~取材を終えたショップスタッフの感想~

レンズ自体の承認基準と違って、レンズを作る組織体制に関して国で具体的に定めている基準というのはありません。また、「コンタクトレンズ協会」というコンタクトレンズメーカーが集まってつくった業界団体で広告基準や臨床試験の考え方など自主基準をつくっていますが、業界団体の自主基準の中にも工場の査察体制や工場から納品された製品のチェック方法について定められているものはありません

カラコンを作るには国の許可がいるものの、このように管理体制に具体的な基準がない中、カラコンの多くが一般に知名度の高くない企業がつくっているというもの「カラコンっていろいろ怪しいし、危険なんじゃない?!」って雰囲気がまだまだある原因の一つじゃないかな?と思ったりもしていました。

その中で、シンシアが独自に厳しい規定を設けて、カラコンの安全性を高める仕組みを導入していると詳しくお伺いできたのはカラコンショップのスタッフとしてはとてもよかったです。

2016年8月現在、カラコンにはクリアレンズにおける最新スペックのシリコーンハイドロゲルレンズという素材によるレンズがほぼなかったり、まだまだ技術革新が待たれるところものありますが、シンシアのレンズは、カラコンの利用者としてもみなさんに販売する販売者の立場として安心して取り扱えると思えましたし、安全性について特に気にするユーザーの方にはオススメできるメーカーさんだと思いました。今後も真摯にカラコンに向き合っていってほしいと思います。

この記事を書いた人
カラコン通販サイト店長
カラコン通販サイト店長カラコンおじさん
カラコン通販サイト「アイカラット」の店長をしています。コンタクトレンズ販売営業管理者。カラコンの存在を知ってから、ついつい女の子の眼をじっと見るようなクセがつきましたw 最近、好きなカラコンはレヴィアワンデーペールミラージュです。

公開日:  最終更新日:2017/04/26

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