カラコンの「取扱説明書」と「添付文書」の違いって?

カラコンの「取扱説明書」と「添付文書」の違いって?

カラコンとか普通の透明なコンタクトレンズとかの広告、販売店、通販サイトなどでよく「添付文書をよく読み…」と書いてあるのを目にします。普段買っていると、「ん・・・?なんだかよくわからないけど、いいやー」って思い過ごしがちなこの「添付文書」について今日から複数回に渡って「カラコンの添付文書を学ぶ」というシリーズで取り上げたいと思います。

はじめの今回は、「添付文書ってそもそも何よ?」というところから疑問を解決していきます。

そもそも「添付文書」って何?具体的に教えて!!

「添付文書」とはカラコンを含むコンタクトレンズを買うと箱の中に入っている取扱説明書みたいなものです。たとえば、倖田來未さんがイメージモデルをしていることで有名なラヴェールの添付文書は次のようなものです。

ラヴェールの添付文書

「添付文書」にまつわる三つの疑問

「これが添付文書だったのかー」ってわかって、いろいろ調べていくと、いくつか疑問が浮かんできますので、全部で3つ、一つ一つ疑問を解いていきます。

なんで「取扱説明書」じゃないんだ?

さきほどの「添付文書の画像」をご覧頂いた皆さんの中には、「あー、添付文書って取扱説明書のことじゃん!」って思った方も多いんじゃないんでしょうか???私自身もそう思ました。そして、私は「なんでわざわざ『添付文書』って言葉を使いだしたのか」と不思議に思ったんですね。電化製品とか買うとついてくるのは「取扱説明書」って書いてありますよね?なんとなくそっちのほうが馴染みやすい気がしますし。

添付文書は薬事法に基づく表現

早速答えから行きますと、一般的には取扱説明書と添付文書の使い分けは薬事法に基づくものかどうかで決まり、カラコンを含むコンタクトレンズは医療機器として薬事法に基づいて国に管理されているため、その製品について解説した文書も「添付文書」と表記されているようです。整理すると、以下のようになると思います。

文書タイプ 管轄省庁 基になる法律
添付文書 厚生労働省 薬事法
取扱説明書 消費者庁 製造物責任法

製造物責任法では直接「取扱説明書」という言葉は出てきませんが、薬事法では「添付文書」という表記出てきます。製造物責任法は日本で販売されているすべての製品に対して効力があるので当然、医薬品・医療機器にも適用されると思いますが、薬事法のほうがいろいろな規定が製造物責任法より細かく厳密になっており、厚生労働省が細かくチェックしているんですね。

なお、添付文書とは別に情報提供するべきことがある場合は「取扱説明書」を付属(載せるべき項目とともに)するように後述する「薬食発第0310003号 医療機器の添付文書の記載要領について」には書かれています。

医薬品と医療機器で薬事法上の添付文書の規定も違う

医療機器、医薬品ともに医薬品医療機器情報提供ホームページにおいて大手メーカーは添付文書を公開しているので、普段使っている風邪薬などを試しにみてみると面白いかもしれません。(このサイトで公開義務があるわけではないので公開されていない商品の添付文書もあります)

風邪薬の話を出してしまってややっこしくなってしまいますが、医療機器と医薬品の取扱説明書は薬事法上でも別に扱われています。例えば、薬剤師のいるドラックストアは薬事法で記載されている医薬品・医療機器はだいたい販売できるのですが、コンタクトレンズのような医療機器は薬剤師免許とは別に限定された資格を持っている人が都道府県から許可を受ければ販売できます。この例と同様に添付文書も医薬品と医療機器で規定が違います。

区分 添付文書の規定条文
医薬品 風邪薬 第五十二条
医療機器 コンタクトレンズ 第六十三条の二

カラコンの添付文書に載せなきゃいけないこと

それでは具体的にカラコンを含むコンタクトレンズの添付文書に載せなければならない項目は何なのでしょうか?早速、薬事法の第六十三条の二を確認してみます。

薬事法の条文

(添付文書等の記載事項)
第六十三条の二  医療機器は、これに添付する文書又はその容器若しくは被包に、次に掲げる事項が記載されていなければならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。
一  使用方法その他使用及び取扱い上の必要な注意
二  厚生労働大臣の指定する医療機器にあつては、その保守点検に関する事項
三  第四十一条第三項の規定によりその基準が定められた医療機器にあつては、その基準においてこれに添付する文書又はその容器若しくは被包に記載するように定められた事項
四  第四十二条第二項の規定によりその基準が定められた医療機器にあつては、その基準においてこれに添付する文書又はその容器若しくは被包に記載するように定められた事項
五  前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
(準用)
第六十四条  医療機器については、第五十三条から第五十五条までの規定を準用する。この場合において、第五十三条中「第四十四条第一項若しくは第二項又は前三条」とあるのは「第六十三条又は第六十三条の二」と、第五十五条第一項中「第五十条から前条まで」とあるのは「第六十三条、第六十三条の二又は第六十四条において準用する第五十三条若しくは前条」と、「販売し、授与し、又は販売」とあるのは「販売し、賃貸し、授与し、又は販売、賃貸」と読み替えるものとする。
薬事法の「第五節 医療機器の取扱い」

「漢字いっぱいでよくわらない・・・しかも抽象的だし・・・」という感じで、これをみてもいまいちピンときませんね。

厚生労働省の記載要領

なので、厚生労働省から「医療機器の添付文書の記載要領について」というしっかりとした具体的な書き方の規定が発表されています。(「コンタクトレンズについても、適用することとしたこと。」というようにコンタクトレンズも該当することが書かれています)

具体的な項目について抜粋しますと、以下のように細かく、順序まで指定されています。

記載項目及び記載順序
1)作成又は改訂年月日
2)承認番号等
3)類別及び一般的名称等
4)販売名
5)警告
6)禁忌・禁止
7)形状・構造及び原理等
8)使用目的、効能又は効果
9)品目仕様等
10)操作方法又は使用方法等
11)使用上の注意
12)臨床成績
13)貯蔵・保管方法及び使用期間等
14)取扱い上の注意
15)保守・点検に係る事項
16)承認条件
17)包装
18)主要文献及び文献請求先
19)製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称及び住所等
医療機器の添付文書の記載要領について

この記載要領では、それぞれの項目についてさらに細かくどのような記載がされるべきか書かれており、「これを見ればしっかりした添付文書が作れるね!」と思えるのに十分な内容になっているようですね。

コンタクトレンズの承認基準

メーカーによって製造された製品を薬事法に基づいて医療機器のコンタクトレンズとして厚生労働省が認めるかどうかの承認基準が公表されておりまして、そこにも添付文書に関する記述があります。

度なしのカラコンは、2009年11月から、医療機器として薬事法の管理下に入ったのですが、それに先立つ2009年4月28日に、この承認基準も改正されおり、その最新の承認基準を引用します。

11.3 一次包装、二次包装又は添付文書
一次包装、二次包装又は添付文書により、以下の事項を記載すること。
(1) ソフトコンタクトレンズの分類制度に基づくグループ名
(2) 構成モノマー名
(3) 着色剤、紫外線吸収剤を使用した場合はその名称
(4) 特別な保存又は取扱い(例:凍らせないこと、改竄防止シールが破れていた場合 使用厳禁、表面処理など特殊加工を施している製品の洗浄方法)
(5) 警告及び注意事項
(6) 終日装用の製品の場合、終日装用のみの旨
(7) 交換スケジュール(当てはまる場合)
(8) 保存液の主成分の名称及び防腐剤がある場合はその名称 コンタクトレンズ承認基準

一次包装というのはワンデーでいう一枚一枚のパッケージで、二次包装というのは箱のことですね。なんだか、こちらも難しい言葉が並んでいますので、解説は後日として、まぁこんな風に決まっているんだなという認識にとどめておきたいと思います。

というわけで、改めてまとめますと、カラコンの説明書っぽいものが添付文書と呼ばれているのは、法律で決まっており、その内容も法律に基づく基準が決まっていためということでした。

比べてみると「添付文書」のデザインってどれも似ているよね?

「添付文書」と「取扱説明書」の違いが分かったところで、「ふむふむ、こちらのレンズではこんな感じになって、こちらのレンズではこんな感じなのかー」といくつか比べていきました。

シードアイコフレワンデーの「添付文書」

北川景子ちゃんがイメージモデルでCMでも人気のシードアイコフレワンデーの添付文書はこなっています。公開されていますので、以下の画像にリンクを貼っておきました。

シード Eye coffret 1day UVの添付文書

ワンデーアキュビューデファインの「添付文書」

当サイトでは取り扱いはありませんが、一番有名なカラコン(サークルレンズ)であろうジョンソンエンドジョンソンのワンデーアキュビューディファインの添付文書はこうなっています。こちらも、公開されていますので、以下の画像にリンクを貼っておきました。

ワンデー アキュビュー® ディファイン®の添付文書

ラバーズカラーワンデーの「添付文書」

最近、宮城舞ちゃんがイメージモデルになった大人気ブランドのラバーズカラーのワンデーの添付文書です。販売元のティー・アンド・エイチ、製造販売元のアイレは、先の二つのメーカーである、シードやジョンソンエンドジョンソンほど有名な企業ではないですが、添付文書もしっかりされていますね。

ラバーズカラーワンデーの添付文書

どれも左側の注意事項が真っ赤なわけ

比べてみると、どれも全体のレイアウトが似ていて、しかも左側にやたら目立つエリアがありますよね!なんで、どれも、こんなに目立つ色なのか、私はとても気になりました。

医療機器の添付文書の記載要領には色の指定まではない

もちろん、「医療機器の添付文書の記載要領」に

  1. 記載項目とその順序
  2. 販売名などは添付文書の1ページ目の紙面の上部に記載すること

と定められているのですが、先ほど例にあげた添付文書は「注意事項などをやたら目立つ色にする」なんて規定は見つかりません。

コンタクトレンズ協会の自主基準に記載があった!

コンタクトレンズの販売の許可などで販売する業者にはなじみの強いコンタクトレンズ業界団体の「コンタクトレンズ協会」という組織があります。コンタクトレンズの製造業者の多くが入っているこの団体では、実は多くの自主基準を作っており、添付文書についての自主基準も定めているのです。

実際に、そこに「注意事項が真っ赤なわけ」がありました!

1.6.6【警告】
当該医療機器の使用範囲において、特に危険を伴う注意すべき事項を記載すること。
(中略)
赤枠(2.25 ポイント)内に記載し、フォントは 8ポイント以上の赤字とする。 1.6.7【禁忌・禁止】
当該医療機器の不適正使用等、責任範囲を超える対象及び使用方法を記載すること。
(中略)
赤枠(2.25ポイント)内に記載、フォントは 8 ポイント以上の黒字とする。
コンタクトレンズの添付文書及び表示に関する自主基準

フォントサイズや赤枠で囲むことなど非常に細かい規定となっていますね。その他、「医療機器の添付文書の記載要領」よりさらに細かく詳細にどのような内容を記載すべきかが載っており、実際長いので読むのも大変なくらいですね!

というわけで、カラコンの添付文書がどれも似たようなデザインになっているのは、業界の自主基準を参考に作られているためということがわかりました。

そもそも「添付文書」がでてくる注意事項もお決まり文句じゃない?

コンタクトレンズのCMとか、交通広告、カラコンサイトの販売ページで「添付文書」という言葉は出てきますが、これらの文章ってやたらお決まりの文句が並んでいますよね?

よく見るお決まり文句の例

例えば、当サイトや冒頭の画像のもとにさせて頂いた厚生労働省の注意事項を見て頂くと分かりますが、だいたい同じような内容です。

また、参考になる例が見当たりませんが、CMの最後や交通広告のクリエイティブの下の方に小さく書かれている注意事項はほとんど同じです。

こういうのを見るとまたしても、

  • 有名メーカーが作った文言を参考にして使いまわしているのでは???
  • そもそも注意すべきことはだいたい同じだから同じになるのでは???

などと思ってきますよねw 私も当初、実際に当サイトの「カラコンの正しい使い方」のコンテンツを作るときに、このような疑問を持ちつつ、「結局どこを参考にすべきかな。。。」と悩みました。

業界基準に「『添付文書』を読むこと」を記載する旨が存在

「添付文書」同様、広告のについてもンタクトレンズ協会の業界自主基準が定められています。ここでは「添付文書」が出てくる部分の「印刷媒体における使用上の注意等の表記 」を引用します。

コンタクトレンズ添付文書ガイドラインの「特にご注意いただきたいこと!」に示す以下の 4項目の見出しについても原則として明記すること。

① 装用時間を正しく守ること。
② 取扱い方法を守り正しく使用すること。
③ 定期検査は必ず受けること。
④ 少しでも異常を感じたら、直ちに眼科医の検査を受けること。
コンタクトレンズの広告自主基準

インターネットにおける表記についても自主基準に「第17条 インターネット又は通信販売の広告は、印刷媒体の表記基準に準ずる。 」とあるので、インターネットのカラコン通販サイトであるアイカラットもこちらの基準を参考にさせて頂き、カラコンの正しい使い方を作っています。

ちなみに、運営しているカラコン通販サイトのアイカラットでのカラコンの正しい使い方というページの作成で気を付けたポイントは、できるだけわかりやすい表現に変換するということです。主に扱っているのがカラコンという10代、20代の女性がメインユーザーの属性のある商品ですので、漢字慣れしていない若い世代に合わせたカスタマイズする必要があると思ったのです。例えば、自主基準では「コンタクトレンズは目に直接装用する「高度管理医療機器」であること、(中略)を明記するものとする。 」と出てくのですが、「高度管理医療機器」という行政上の用語は一般になじみもないし感じが長く難しい言葉だと思いました。そこで、あくまで「何かを目に入れるのって怖いことだよね?」っていう感覚的な前提に基づいて、「コンタクトレンズは目に入れるためその使用には眼障害が発生する危険性がある」と標記することにしたのです。

というわけで、添付文書がでてくる広告の注意事項が決まり文句なのは、自主基準に規定されているためということでした。

コンタクトレンズ協会の自主基準一覧

あくまで自主基準なので、特に輸入代行商品を筆頭にすべてのカラコン・コンタクトレンズを扱う企業が遵守しているわけではありませんが、一応、どんな自主基準があるのかすべてリンクで紹介しておきます。

まとめと次回予告

今回の内容をまとめると以下のようになります。

  • カラコンの添付文書は箱に入っている説明書みたいなものを指す
  • 添付文書という呼び名は法律で決まって、載せる内容も決まっている
  • 添付文書の詳細は業界の自主基準を参考に作られており、デザインの指定もある
  • 業界の自主基準には広告に関するものもあり、そのほか様々な自主基準がある

次回以降は今回取り上げた「添付文書」をさらに深掘りし、各項目についてみていきたいと思います。次回は「カラコンの箱の商品名と添付文書の販売名が違うんですけど?!」と題して販売名について取り上げたいと思います。

この記事を書いた人
カラコン通販サイト店長
カラコン通販サイト店長カラコンおじさん
カラコン通販サイト「アイカラット」の店長をしています。コンタクトレンズ販売営業管理者。カラコンの存在を知ってから、ついつい女の子の眼をじっと見るようなクセがつきましたw 最近、好きなカラコンはレヴィアワンデーペールミラージュです。

公開日:  最終更新日:2014/12/16

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